アエルラでの出会い【1-7】後日談
【1】はもうちょっとだけ続くんじゃよ。
映画ダブルデートの何日か後、かなこちゃんから「2人で遊びに行かない?」と連絡をもらいました。
もちろんOKして後日会うことに。
都内で待ち合わせして一緒にアニメショップに行ったり同人誌を見たりカラオケに行ったりオタクらしく腐女子らしく遊びました。
カフェで休憩中、オタクな話題も一段落しAさんと祐介さんの話に。
「みゆきちゃん、映画のときAさんに“久しぶり”って言ってたけどのくらい会ってなかったの?」
「アエルラのパーティからだよ。」
「えっ!あれから2ヶ月も会ってなかったの?まあお互いよそよそしいとは思ってたけど…。で、あの後どんな感じ?」
「いや~実は合わないと思ってお断りしたんだよね…」
「そっか…」
「そっちはどんな感じ?」
そこでかなこちゃんの表情は少し沈みました。
「実はどうしようか悩んでて…」
かなこちゃんはアエルラから映画までの2ヶ月間、祐介さんと月3回くらいのペースで会っていて、その間会うとよくプレゼント攻撃をされそうになっていたとのこと。
され“そう”というのは最初の方のデートで「いま○○と△△(家電やゲーム機)欲しいんだよね。」と言ったら「それ俺今使ってないからあげるよ!今度送るね。」ということなので実際にもらってはいないから。
中古とはいえそんな高価なもの受け取れないよ、と断ってもいいからいいから!、と推してくる。
デートの度「そういえばこの間の○○ほんと遠慮しないで。」と言われる。
もちろんかなこちゃんの言葉に「買ってほしい」の意味はなく話題の一環としての発言。
この話を聞いたとき当時の私は「欲しいものくれるならラッキーじゃん!」と思っていました。
「もしかして中古とかだめな人?」
「ううん、そうじゃないの。純粋に貰うの悪いなって…」
どうやらかなこちゃんにとっての祐介さんは、少し前の私にとってのAさんと同じく、「これから仲良くしていきたい人」のようです。
「これから仲良くしていきたい人」イコール「今はまだそんなに仲良くない人」からそこそこ高価なものを貰うなんて悪いし、言い方は良くないけど重いと感じている。
「もうそこそこ回数会ってるのにまだ仲良くはなってないんだ?」
「うん…最初の方にその“○○あげる”っていうのがあって、もちろん知り合って間もないから純粋に申し訳ないって気持ちもあったよ。それもあったけどなんか貰ったら付き合わなくちゃ悪いかなっていうのもあって…最初にそれが引っかかっちゃってずっと引きずってきちゃってるというか…」
「あ~“○○あげたんだから付き合ってよ”ってなるのが嫌だったてこと?」
私は祐介さんのことをよく知らないけれどそんなことを言うようには見えなかった。
「そんな人じゃないとは思うよ、あっちは純粋な好意なんだと思う。でもどうしても私の中での引っ掛かりが取れなくて…」
かなこちゃん自身が「そこそこ高価なものを貰っておいて告白された場合、付き合わないと申し訳ない」という考えだから、そこに祐介さんがどういう考えであるかは関係ない。
「あげる」と言われ続けるのが重たい。
一度自分の中で引っかかることができてしまうとそれを取り除くのはとても困難なこと。
だったらもういっそ新しい出会いを探してみるのはどうだろう?
「かなこちゃんかわいいしまだいくらでもチャンスあるよ!」
そう言うとかなこちゃんは困ったように笑いました。
「みゆきちゃんはまだ若いけど…私はもう20代後半でしょ?30までに結婚したいし…この私の引っかかり以外はそんなに相性も悪くないと思うし良い人だよ。これがラストチャンスかもしれないと思うとそんなに簡単に別れられないよ…」
20台前半の私のように「だめだ!はい次!」と簡単にはできない、とかなこちゃんの表情が沈みました。
30までに結婚したいという気持ちは私も同じ。
私は何も言えなくなってしまいました。
この日以降、かなこちゃんには会っていません。
携帯を変えてしまい連絡先がわからなくなりフェードアウト。
連絡は取れなくなってしまいましたが幸せになっていてほしいと思います。
どんなプレゼントでもプレゼントはプレゼント。貰えるならば嬉しい、欲しいものならなおさら、というのが私の考えでした。
かなこちゃんの気持ちを理解できるようになるのはもう少し先の話になります。